「認定理学療法士」取得するメリットは?2022年に制度変更

認定理学療法士とは? 資格取得メリットをチェック

日本理学療法士協会が設けているのが、「認定理学療法士制度」。この資格を取得していなくても、理学療法士として活動していくことはできますが、認定されることによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。今回は、認定理学療法士制度の内容や、資格取得までの流れ、また、「専門理学療法士」との違いなどについてご紹介します。

認定理学療法士とは?

病室の窓辺

認定理学療法士とは、日本理学療法士協会が進めている生涯学習制度に組み込まれた資格です。理学療法士の資質向上、専門分野の職能的水準の向上、自発的な学習の継続を促すために創設された資格です。

取得者はどれぐらい?

日本理学療法士協会の会員者数は、2020年10月1日時点で129,396名ですが、うち認定理学療法士取得者数は実数で10,271名と、10%にも満たない状況。

もちろん、取得に向けてさまざまなハードルがあるということもありますが、それでも人数が少ないように感じられます。取得者数が少ない原因の1つには、取得する際のメリットがあまり感じられないということが挙げられます。

給与面や待遇でのメリットは?

資格を取得するモチベーションの1つとして、給与アップや待遇面でのメリットが挙げられます。ある資格では手当がついたり、昇格の条件に含まれたりするケースがありますが、認定理学療法士については、そのようなメリットはあまり聞かれません。

 

認定理学療法士の資格取得の流れ

認定理学療法士として認定されるには、下記のとおり、いくつかの手続きが必要です。

  1. 新人プログラムの修了
  2. 希望領域を含む専門分野の登録
  3. 研修受講などによるポイント取得
  4. 症例報告(10例)の提出
  5. 申請手続き
  6. 認定試験

新人プログラムの修了

認定理学療法士及び専門理学療法士になるためには、まずは新人教育プログラムを終了する必要があります。日本理学療法士協会に入会後、1年以内に指定された15単位(平成24年度以降に入会された方で、大学・高度専門士養成校の出身者は13単位)を取得します。単位を取得するための研修会は、各都道府県の理学療法士会が実施します。

希望領域を含む専門分野の登録

新人教育プログラムを修了した後は、7つの専門分野(基礎理学療法、運動器理学療法、神経理学療法、内部障害理学療法、物理療法、生活環境支援理学療法、教育・管理理学療法)から、1つ以上を登録します。

この登録から2年以上経たないと、認定理学療法士は取得できないため、できるだけ早く登録しておきましょう。

研修の受講などによるポイント取得

専門分野を登録した後は、その分野に沿った研修を受講する必要があります。中には必須のものがあり、獲得ポイントがそれぞれ異なりますので、ポイント数を確認の上、受講しましょう。

項 目必要ポイント数内 容
認定必須研修会20分野ごとに開催される研修会で、受講は必須。2021年度はオンラインやeラーニングで開催されています。
協会指定研修40共通分野に関する研修会で、こちらも2021年度はオンラインやeラーニングで開催されています。
その他学会・講習会100協会が指定した学会の出席や講習会の出席により、ポイントが加算されます。

症例報告(10例)の提出

上記の講習会参加などとは別に、決められた様式で専門分野に関する症例報告を10例作成し、提出する必要があります。1症例につき、1,000~1,200文字程度でまとめます。審査内容や審査基準が定義されていますので、その内容に沿って文章にまとめましょう。

申請手続き

専門分野の登録から2年以上が経過した後、規定のポイント数を獲得し、症例報告を作成したら、必要書類と申請料(1分野ごと)を用意し、認定試験に向けて申請手続きを行いましょう。

認定試験

試験は毎年3月に行われますが、過去の試験問題と解答、審査内容は非公開となっています。そのため、合格するためには過去の問題集をもとに勉強するというよりも、日々の理学療法士としての経験内容や、受講してきた講習会の説明内容を体型的に整理し、受験に臨むことになります。

2022年から制度が大きく変わる

認定理学療法士の認定方法ですが、2022年から大きく変わります。日本理学療法士協会が「新生涯学習制度」にリニューアルするにあたって変更になるのですが、大きく分けて2つの変更点があります。

  • 入会後は前期研修(最短2年間)・後期研修(最短3年間)を履修し、まずは「登録理学療法士」となります。登録理学療法士は、5年ごとの更新制です。
  • 登録理学療法士から、さらに専門的な知識を有する認定理学療法士または専門理学療法士のどちらかを目指します。こちらも5年ごとの更新制となりますので、取得後も自己研鑽にはげむことになります。

つまり、認定理学療法士になるまでの期間が長くなることと、1度取得すればずっと有効というわけではないということです。

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認定理学療法士と専門理学療法士の違い

ひとりだけ閃く

認定理学療法士は、診療報酬区分に準じた疾患群への対応や、介護予防・健康増進などの職能・臨床実践を目指す会員のための資格です。専門理学療法士は、さらに理学療法の学術的側面を志向するための資格です。

それぞれの専門領域の中で、専門理学療法士は認定理学療法士の上位資格となります。そのため、資格取得に必要な条件は専門理学療法士の方が厳しくなっています。

 認定理学療法士専門理学療法士
登録からの経過年数2年5年
必要なポイント数160ポイント560ポイント

認定理学療法士で得られる3つのメリット

前述のとおり、さまざまな手続きを経なければならないにもかかわらず、認定理学療法士になることに関して、さほどメリットはないように感じられたかもしれません。しかし、理学療法士の仕事に従事するだけでは得られないメリットがあります。

メリット1. 講習会参加による知識の獲得

研修や講習会の出席を通じて、理学療法士に関する知識が得られるということ。実践で覚えるのが、仕事に役に立つ方法ではありますが、体系的に知識を得ることは難しいものです。講習会を通じて、気づきが得られることも少なくないでしょう。

メリット2. スキルの確認

ふだん仕事をしていて、自分はどれだけのスキルを有しているのか、周りの人と比べることはできるかもしれませんが、一般的に理学療法士が得るべき知識をどれだけ持っているのか、測るのは難しいでしょう。

それが研修や講習会に出席することで、自分が今どれだけの知識を持ち、どの分野のスキルが足りないのかということを確認することができます。

メリット3. 重要性の高まり

厚生労働省で策定された「医療広告ガイドライン」によりますと、2021年7月時点では認定理学療法士の資格表記は認められていません。しかし、日本理学療法士協会は2022年度に改訂される新生涯学習制度により、医療広告に認定理学療法士の資格を記載できることを目指しています。

そうすると将来、医療広告に「認定理学療法士が○名従事」とアピールする可能性もあり、資格保持者のニーズが高まる可能性がありますので、病院側が今よりも認定理学療法士を重宝する可能性があります。

生涯学習でより高い専門性を手に入れよう

今回は、認定理学療法士の資格を取得するメリットや、取得までの流れ、2022年から変更される制度の大まかな内容について説明しました。認定理学療法士の資格がなくても仕事はできますが、自己スキルを向上させるのに有効であるだけではなく、今後は必要性が高まっていくものと思われます。認定までは多くの労力と時間がかかりますが、新しい制度は公式サイトで随時確認の上、ぜひ取得を目指してみてください。