看護系専門学校(夜間)にかかる学費はどれぐらい?金額を徹底調査

働きながら勉強できる! 夜間の看護学校を紹介

看護師の資格を取るための1つの選択肢としては看護専門学校が考えられますが、通うには学費だけではなくさまざまな費用がかかります。

特に看護専門学校は他の専門学校と比べて比較的学費が高いといわれていますので、その理由についても解説します。また、学費がかかりすぎて看護師の道をあきらめることがないよう、この記事の後半には奨学金や授業料の減免などについても説明しますので、参考にしてみてください。

なお、准看護師の資格を持たずに、働きながら看護学校の夜間部に通うということはできません。看護師になるためには、膨大な知識を得る必要があるため、夜間だけでは授業時間が足りないためです。そのため、准看護師の資格を持っている状態で専門課程を学ぶのが、夜間の看護専門学校の目的です。

そのため、どうしても働きながら1から学びたいという方は、まずは准看護師の養成校で平日の午後や夜間に勉強に励みましょう。

今回は、働きながら通える夜間の看護専門学校について、授業料などの学費の平均額や入学までの準備、学生期間の生活費など詳しくご紹介します。

夜間の看護学校は存在する?

ひとりだけ閃く

社会人からの転職や、アルバイトなどをしながら看護師を目指したいという方からは、夜間の看護学校を求める声もあります。

ですが、先ほど述べたように、准看護師の資格がない状態で、一から看護師を目指すための夜間部看護学校は存在していません。

学ぶことが多いために授業時間が夜間では足りないという点も大きいですし、看護師になるための実技や実習をするためには、どうしても患者さんが多く来院する日中に行わざるを得ないという問題もあります。

働きながら看護師を目指すためには

働きながら正看護師を目指すことは、正直に言うと現実的ではありません。そこで、働きながら看護師を目指す場合には、まず准看護師の資格を取得するのがおすすめです。

准看護師を目指す学校であれば、全日制だけでなく午後から授業を行う学校もあります。ただし、実習の日には朝から夕方まで行う場合もあるので注意が必要です。

正看護師になるためには最低でも3年の学習期間が必要なのに対し、准看護師になるためには2年間で大丈夫というのも嬉しい点です。

また、准看護師から正看護師を目指す場合には、夜間の学校も存在します。さらに2年から3年の学習期間は必要になるものの、ステップアップする手段もありますので、まずは准看護師を目指すという選択肢は覚えておいた方が良いでしょう。

准看護師であれば通信制の学校も

また、准看護師から正看護師のステップアップであれば、夜間の学校だけでなく通信制の学校も存在します。

こちらも准看護師から正看護師を目指す人に向けた学校であり、一から看護師を目指すためのものではありません。その上で、通信制の学校で正看護師を目指すためには、准看護師として7年間の実務経験が必要とされています。条件は難しいですが、准看護師を経由してステップアップしていきたいという人には、有力な選択肢の1つになるでしょう。

看護専門学校の学費の相場はどれぐらい?

コインと問題集

夜間に授業を行う看護専門学校の学費は、だいたいどれくらいかかるのでしょうか。一例として、長崎市医師会看護専門学校第2看護学科(夜間定時制・2年課程、修業年限3年)を挙げます。

 

(単位:円)

項  目

金  額

入 学 金

150,000

授業料など

授業料(年額)

372,000

実習費(年額)

108,000

施設整備費(年額)

78,000

入学準備金

教本・教材など

170,000

ユニフォーム代ほか

30,000

国家試験費用

50,000

団体傷害保険(3年分)

14,000

 

入学金や授業料以外にも、実習費や施設設備費、ユニフォーム代など、他業種の専門学校では発生しないさまざまな費用がかかるということがわかりました。

通う学校によって、学費などの設定額はまちまちです。費用面だけでなく、カリキュラムの違いなどもしっかり確認してください。

【看護専門学校面接試験対策の詳細はこちら】

看護専門学校を受験する上で、最も重要視されるのが面接試験です。面接試験での評価ポイントや、具体的な質問と回答例といった対策まで、詳細に解説します。

医療系の専門学校の学費が高くなる理由

階段状に積み重なるコイン

医療系専門学校の学費は、授業料だけではなく、研修や実習演習費も加算されるため、これが高額な学費の原因となっています。授業料も比較的高いですが、これは高度な医療知識を持った方が教師となるために人件費がかさむ上、研修や実習では高額な医療機器が必要となり、医療技術の向上に従って学校でも最新の設備を常に用意する必要があるためです。例えば看護専門学校の昼間部では、施設設備費に年間で10万円近くかかるケースもあります。

さらに、教科書や参考書などの教材費も、高額な学費の原因となっています。医療系専門学校では勉強のために専門書を購入しなければならないのですが、専門書は発行部数が少ないため、どうしても1冊1冊の価格が高額になってしまいます。

それ以外にも、各種ワクチン費用や白衣費用など、看護専門学校ならではの費用がありますので、学校の募集要項のパンフレットなどで確認しましょう。


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学費以外に必要なお金

羽の付いた紙幣

学生になると授業料以外にも生活費が必要となってきます。実家暮らし、1人暮らし、学生寮生活によって生活費の金額は大きく変わります。看護専門学校生ではありませんが、参考として、大学生協が調査した2020年における下宿生の1か月の生活費平均を下記に記載します。

看護専門学校の卒業までの3年間で必要なお金は?

ここまでは、看護専門学校に進学するのにあたってかかる費用について説明しましたが、3年間の支出についてまとめると、以下のようになります。

夜間に通う場合は、昼間に働いているケースが多いと思われ、金銭面では大学生と比べると余裕があるかもしれません。しかし、毎日長い時間働きながら夜間に勉強するのは、身体的にも精神的にも大変なことです。特にお子さんがいらっしゃる場合は、家族のサポートが不可欠ですので、金銭面はもちろんのこと、さまざまな負担を考えた上で進学を決めましょう。

専門学校卒の看護師の給料を知りたい方は、当ブログの「看護大卒と専門学校卒の看護師の給料の違いについて解説」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。

通学中の経済的な負担を少なくするには奨学金を利用しよう

知識と学習の看板

看護専門学校で勉強するのにあたり、「思ったよりも金額がかかる。これなら進学するのはかなり難しい」と感じられた方がいらっしゃるかもしれませんが、あきらめずに奨学金制度や免除制度を検討しましょう。

病院奨学金(看護奨学金)

「病院奨学金制度」とは、病院が学費の貸付けを行う制度です。他の奨学金と大きく異なる点は、貸付元の病院で一定期間働くことによって、後に学費の返済が免除になるという点です。日本では医療従事者の人材不足が社会問題化している状況で、病院としても人材を確保したいという考えがあるようです。

病院によって貸付金額はまちまちで、入学時に加算される所もあります。一定の勤務期間や年齢制限、対象人数などが設けられていますので、貸付条件はよく確認しましょう。

返済が免除されるのは大きなメリットですが、逆にその職場が嫌になって退職したり、家庭の事情で遠くへ引っ越ししなければならなかったりすると、返済が必要になりますので、貸付元の病院における職場環境や家庭の状況についてもよく考えておきましょう。

下記に病院奨学金の一例を挙げます。

(2021年7月現在)

医療機関・医療法人名

制度名

貸与金額

国立病院機構

奨学金制度

年額:400,000〜840,000円

(各施設による)

徳洲会グループ

奨学金制度

月額:50,000円

戸田中央医科グループ

奨学金制度

入学金:300,000円

月額:50,000円

京都下鴨病院

看護学生奨学金制度

年額:900,000円

(入学金・授業料・施設費が対象、寮費など生活費は対象外)

宮崎医療センター病院

看護奨学金制度

月額:60,000円

(入学時一時金制度もあり)

日本学生支援機構の奨学金

奨学金制度で有名なのは、独立行政法人日本学生支援機構が運営する国の奨学金。大学や高校の奨学金も行っていますが、専門学校も対象となっています。奨学金の種類により、貸付条件は異なります。

1. 給付奨学金

児童養護施設に入所していた方など社会的養護を必要とする方や、住民税非課税世帯または生活保護世帯の人を対象とする奨学金で、返済が免除されています。十分に高い学習成績が必要です。平成29年度以降に大学・短期大学・専修学校に進学した人や、高等専門学校で3年生から4年生に進級した人が対象です。下記2. 3.の貸与型と異なり、大学院で学ぶ人は対象外です。

2. 第一種奨学金(無利子)

成績が優秀な学生で、経済的理由により修学が困難な人に貸与されます。大学・短期大学・専修学校・大学院で学ぶ学生が対象の奨学金です。

3. 第二種奨学金(有利子)

在学中は無利息で、卒業後は年3%(2021年7月現在)を上限とする利息付きの奨学金です。第一種よりも貸出し基準のハードルは低く選考されます。2.と同様、大学・短期大学・専修学校・大学院で学ぶ学生が対象の奨学金です。

4. 入学時特別増額

上記2、 3の第一種奨学金(無利子)、または第二種奨学金(有利子)に加えて、入学した月の分の奨学金に対し、一時金として増額して貸与する利息付の奨学金です。日本政策金融公庫の「教育ローン」に申し込んだものの、利用ができなかった世帯に対する救済措置で、学生や生徒を対象とする制度です。

自治体や民間団体の奨学金

上記以外にも、居住している場所の都道府県・市区町村など、地方自治体も奨学金制度を実施している場合があります。奨学金を支給するのに必要な条件は、自治体によってバラバラですが、たいていの場合に求められる条件は、本人または保護者(双方の場合もあり)がその地方自治体に居住していることや、その地方自治体の出身であることです。

奨学金の形態は月々一定額を無利子貸与するケースが多く、貸与期間は入学時から卒業するまでの最短年数となっています。募集時期は、入学前のケースもありますので、入学前に自治体のサイトでチェックしましょう。また、先程紹介した日本学生支援機構や他の奨学金と併用することは認められない場合も多いため、貸付条件などをよく確認しましょう。

さらに交通遺児を対象とした「あしなが育英会」や、各種企業などが運営している奨学金もあります。多くは返済不要のものですが、その分募集人数が少なく、学業成績の基準も高く設けられているため、採用されるのは非常に困難と思われます。

経済的な負担も考慮して志望校を決めましょう

今回は、看護専門学校の夜間部に進学する際にかかる、さまざまな費用についてご紹介しました。受講するカリキュラムや学校の場所、病院奨学金の有無など、いろいろと調べた上で学校を選択することが大切です。せっかく入学したにもかかわらず、金銭面により途中で退学してしまうと、時間と労力の無駄になってしまいます。入学金や授業料はもちろんのこと、学生生活の間にかかる費用など、経済的な負担も考慮した上で、学校選びを考えてみてください。


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