AO入試(総合型選抜)とは、面接や小論文などで受験生を総合的に評価して、その学校の教育理念に合った学生を入学させるための試験になります。大学や短大では「総合型選抜」と名前が変更されていますが、看護学校ではそのままAO入試という名前を使っていることが多いです。
面接や小論文が重視され、なおかつ入試時期も早いことから、推薦入試と似たような試験となっています。今回は、そのAO入試について知り、メリットやデメリットについても学んでいきます。
AO入試とは何か
まず、AO入試とは具体的にどのような試験なのか、ということを確認していきます。
AO入試は直近の30年で出てきた試験方法で、名前は聞いたことがあるけども実態が分からない、といった受験生も多く見られます。AO入試について十分に知ったうえで、これを受けるべきかどうか考えていきましょう。
AO入試の理念
AO入試の「AO」とは、「アドミッション・オフィス(入学管理局)」の略です。この入学管理局が求めている理想の学生像と受験生とを照らし合わせて、大学側が求める理想像に近く、「この学校で学びたい」と意欲を持つ受験生を選んで合格させるのがAO入試になります。
AO入試は従来の学科試験では測れない部分の人間性を重視していますので、必要以上の学力は重視されない傾向にあります。その代わりに、面接や小論文で厳しく判定されるので、簡単には合格できないでしょう。
入試の内容
AO入試では、基本的に面接試験と小論文試験で構成されています。学校によっては、面接試験とは別に面談を設けたり、出願時に小論文の提出をさせたりなど、人間性を測るためにさらなる審査を課す場合もあります。
次に、具体的な入試の時期や試験方法について見ていきましょう。
実施時期
AO入試は、出願が原則8月1日以降と決まっているのみで、その実施時期は学校によって様々です。一般的には9月から翌年の2月までに幅広く行われており、数回に分けて実施する学校も見られます。
一般入試と推薦入試よりも早い時期からスタートすることが多く、他の学生よりも早い段階で合格が決まることも多いです。
必要書類
AO入試の出願をするためには、それぞれの学校の願書に加えて、高校生の方であれば高校の調査書が、すでに卒業された方であれば卒業証明書が必要になります。
また、学校によっては志望理由書や指定の小論文を求められる場合もあります。それらの書類は審査の対象になるため、入試本番ではないからと油断しないようにしましょう。
面接試験
AO入試で最も重要視されるのが面接試験です。学校への志望動機、自己PRなどを中心とした質問をされるので、しっかりと自分をアピールできるようにしましょう。また、質問への回答内容以外にも、面接時の態度やマナーも判断基準になります。気を付けるべきことをあらかじめ確認し、当日は明るく、リラックスして臨みましょう。
AO入試のメリット
通常の入試と違い、学科試験が(ほとんどの学校では)なく、また推薦入試のように評定の基準もないことがメリットの1つです。その代わりに人間性を見るため、勉強をせずに合格できるというわけではありませんが、通常の入試では厳しい学校に入るチャンスになります。倍率もそれほど高くないのが魅力です。
また、学校側からの推薦を貰う必要がないため、推薦枠を気にする必要がない他、社会人や浪人生も受けることができます。
AO入試同士の併願こそ基本的にできないものの、一般入試や推薦入試と日程が被らないため、これらを受験する時に影響が少ないこともメリットの1つです。
AO入試のデメリット
考えられるデメリットとしては、学科試験ではないために決まった対策を行うことができず、入試に向けての準備が難しいことが挙げられます。また、受験するごとに受験料が発生するため、費用もかさみがちです。
また、AO入試はかなり早い段階で受験が終わるため、入学するまでに空白の時間が生じてしまい、学力が低下してしまう懸念があります。入学できても授業についていけないといったケースも多いため、合格のあとも計画を立てて勉強する必要があります。
【看護学校推薦入試・面接小論文対策の詳細はこちら】
看護学校推薦入試では、面接試験の結果が非常に重要です。また、小論文試験の配点も決して油断できるものではありません。面接試験対策で必須の2つの試験の対策について、詳しく解説します。
AO入試への対策
AO入試は面接と小論文がメインになるため、一般入試と比べて対策が難しい一面があります。ですが、注意すべき点をあらかじめ知っておくだけでも、他の受験生に差をつけるポイントになります。
ここで気を付けるべき点を確認して、自分の受験へと役立てましょう。
面接への対策
面接試験は、事前にシミュレートできているかどうかが大きい試験でもあります。質問以外の作法やマナーを習得できているかももちろんですが、出される質問とその回答を事前に考えておくだけで、本番でも落ち着いて考えることができ、自分の能力をしっかりと出し切ることができます。
質問をシミュレートするためには一体何が必要なのか、と考える人もいると思います。質問を考えるときに、最も大事になるのが志望理由書になります。
面接試験は、志望理由書を元にして進められます。つまり、志望理由書を読んでみて、気になった部分や質問してみたいと面接官が考えたところが質問になります。
看護師を目指す理由、志望校を選んだ理由は前提として、それ以外に何が聞かれるのか、自分が書いた志望理由書を見直して考えてみましょう。自分の書いたものだとうまく発想ができないこともあるので、友人や知人に読んでもらうのも効果的です。
推薦入試との違い
AO入試と推薦入試は似ている試験方法ではありますが、この2つには異なる部分も多くあります。
まず、学校からの推薦がないため、前にも述べたように評定による基準がありません。学校内での推薦枠を気にすることもありません。
それでは、その推薦がない分何を重要視するかというと、自己アピール、自己PRと呼ばれる部分になります。言わば学校からの推薦ではなく、自分で自分を推薦するのがAO入試になるのです。
なので、推薦入試以上に自己PR力が求められるでしょう。自分について改めて見直して、アピールポイントをいくつか考えておきましょう。
気軽に受験できる1つの選択肢
AO入試は対策がしづらい試験ではありますが、他の入試と比べて時期が早く、他の受験に影響が出にくいという明確なメリットがあります。
事前に準備が必要ではありますが、要する時間と受験料に余裕があるのであれば、そのまま合格率を上げる一つの手段になります。
不合格になったとしても推薦入試や一般入試があると考えることもできるので、気軽に受験を考えてみてはいかがでしょうか。