社会人から看護師を目指す!入試を受けて大学・専門学校へ行こう

年齢制限、ルート、費用 社会人受験の気になるを解決

社会人として、働きながら看護師を目指すことは珍しいことではありません。政府は社会人・主婦からの看護師育成に前向きだからです。実際に、厚生労働省は「看護師養成所における社会人経験者の受け入れ準備・支援のための支援(2015)」を発行しました。

今回は社会人・主婦の入学をサポートする仕組みについて解説します。思い切って社会人から看護師の資格取得を目指す方は、ぜひ当記事を参照してください。

社会人から看護師になるには何が必要?

自信を持つ男性

看護師の資格には、「看護師」と「准看護師」の2種類があります。看護師として働くためには、いずれかの資格を取得する必要があります。「看護師」と「准看護師」の資格の違いを表にまとめました。

 看護師准看護師
入学要件高校卒業中学卒業
修業年数4年(大学) 3年(看護師養成所)2年(全日制・定時制、受験要件が異なる) 3年(定時制・夜間)
履修時間97単位以上(3,000時間以上)1,890時間以上
実習時間23単位以上(1,890時間以上)735時間以上
免許の種類厚生労働大臣の免許都道府県知事免許
法律上の位置付け傷病者もしくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする

社会人から看護師の資格を取得したくても「年齢制限」があるのでは?と気にしている方は多いことでしょう。

実は、看護資格の取得に際して年齢制限はありません。指定の学科を修了していれば誰でも受験可能です。なかには、40代で看護師を目指す社会人もいます。

とはいえ看護師になる教育を受けるためにお金も時間もかかるため、看護師を目指す決心にはかなりの覚悟が必要です。

「10代後半や20代と一緒に、学生生活をやっていけるのか?」「勉強についていけるのか?」など心配はつきません。そこで社会人から資格取得を目指す方は、途中で投げ出さず必ず看護師になる覚悟が必要といえるでしょう。

日本での看護師不足は深刻な状況で、看護師は売り手市場といえます。一度、国家試験に通れば、就職先に困ることはないため「やり遂げる」という強い意志を持って前に進むことが大切です。

社会人から看護師になるためのルート

社会人から看護師養成校へ入学する方法は、次の2つに大別できます。

  • 社会人入試制度を探して受験する
  • 一般入試を受験する

ではそれぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。

社会人入試制度で大学・専門学校の入学を目指す

看護師を養成する大学や専門学校の入試制度では、「社会人入試制度」を設けている学校が数多くあります。

社会人入試制度では、社会人も学ぶ機会を得られるように受験準備の負担を軽くしているため、働きながら看護師を目指す方におすすめの方法です。多くの社会人入試制度は、次のような内容を組み合わせて実際されています。

  • 基礎学力テスト(ない場合が多い)
  • 小論文
  • 個人面接
  • 集団面接
  • 集団討論

社会人入試では、単純な学力だけではなく「学ぶ意欲」が重視されるため、小論文と面接のみというケースも多く見受けられます。

社会人入試制度を設けていない大学・専門学校では、社会人の受け入れに消極的かもしれません。社会人の受け入れについて積極的かどうかは、オープンキャンパスに参加してチェックすると良いでしょう。

なお社会人入試は、秋期に実施されることが多いのが特徴です。

一般入試で大学・専門学校の入学を目指す

看護師を目指す場合には、一般入試のほうが募集人数が多いことがあります。社会人が、一般入試を受験することも可能です。ただし大学入学共通テスト(5教科7科目)を受験する必要がある場合には、勉強量は膨大になります。

学力試験に受かれば、2次試験で面接試験を受けることが多いでしょう。なお一般入試は、冬期に行われることがほとんどです。

看護師を目指す方が読むべき本に関しては、当ブログの「看護学校受験や看護師を目指す人が読むべき本は?看護学校受験にもなる」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。

看護師になるためにかかる費用を安く抑える!サポート制度も充実

看護学校にかかる費用を総額で考えると、専門学校なら約250~300万円、私立大学の場合にはなんと約500~700万円かかります。 准看護師を目指す場合には、年間50万円ほどです。いずれを選ぶにせよ、かなり高額な学費だといえるでしょう。

そこで経済的な理由で社会人が学びを断念することのないよう、さまざまなサポート制度が用意されています。

ここでは次の3つの制度を紹介します。

  • 病院奨学金制度
  • 奨学金制度
  • 学費免除制度

ではそれぞれの特徴について見ていきましょう。

病院奨学金制度

病院奨学金は、病院が学費の貸与をします。中には生活費の支援をする病院もあるのでチェックしてみてください。学生側は資格取得後に一定期間、当該病院で働くことが条件です。そのため就職活動する必要がなく、看護師試験の勉強に専念できます。

また指定された病院で一定期間、資格取得後に働くことで返済免除になるケースも多いことを知っておきましょう。ただし学費の返済免除ではなく、給料から返済額を天引きする場合などもありますので、事前によく条件を確認してください。

貸与額や学力審査の有無、さらに利子や返還についての条件は病院ごとに異なるため、事前によく調べましょう。

奨学金制度

在学中の経済的負担を減らすためにも、さまざまな奨学金制度をチェックしましょう。例えば、次のような奨学金があります。

  • 日本学生支援機構
  • 都道府県や地方公共体(看護師等修学資金貸与事業)
  • 民間団体
  • 学校独自の奨学金

なお日本看護協会が、奨学金・助成金を貸与・交付する団体の一部を一覧で紹介しています。教育ローンの借り入れを決める前に、利用できる奨学金がないかぜひチェックしてみてください。

学費免除制度

看護師の養成校のなかには、授業料の授業料の減免制度を設けているケースがあります。例えば次のような条件下にあり、授業料の支払いが困難とされる学生を対象としたものです。

  • 住民税の非課税世帯
  • 世帯収入が一定の基準を下回る世帯(年収約240万円~380万円が目安)

経済的な理由とともに学業成績が優秀と認められた場合には、授業料の全額又は半額が免除される制度もあるので、個別に申請するのを忘れないようにしましょう。

【看護学校受験対策の詳細はこちら】

看護師になるためには、まず看護学校の受験に合格しなければなりません。合格のための勉強法はどうすればいいのか、詳しく紹介します。

社会人から看護師になるために知っておきたい2つのこと

色鉛筆と鉛筆削り

ここでは、社会人から看護師を目指すなら知っておきたいことや、知っておくと心強いことを2点ご紹介します。

  • ナースセンターを通じて仕事探しをしやすい
  • 看護師はニーズの高い仕事

ではそれぞれについて見ていきましょう。

ナースセンターを通じて仕事探しをしやすい

ナースセンターは、国の政策として生まれた機関です。「看護師等の人材確保の促進に関する法律」をもとに、無料職業紹介事業を行っています。ナースセンターと豊富な求人情報にアクセスできるハローワークが連携しているので、看護師は仕事が探しやすいのです。

ナースセンターでは看護職の相談員が次のような相談にのってくれます。

  • 就業相談
  • 看護相談
  • メンタルヘルス相談
  • 医療安全相談
  • 進路相談(看護師を目指す方)

専門的な仕事について、ひとりで悩まなくて済むのが心強いですね。看護師を目指す方の相談にも乗ってもらえるので、気になる方は実際に各都道府県のナースセンターに連絡してみると良いでしょう。

看護師はニーズの高い仕事

看護師の資格を取得したら、活躍できる場所は数多くあります。代表的な病院やクリニック以外に、勤務先の候補となる施設や分野は次のとおりです。

  • 訪問看護ステーション
  • 企業の健康管理室
  • 助産施設
  • 養護教論
  • 介護老人保健・福祉施設
  • 看護の教育機関
  • 在宅介護支援センター・デイサービスセンター
  • 市町村・保健所・都道府県・国(保険医療の施策づくりに参加)
  • JICA(国際協力事業団)・青年海外協力隊(国際協力事業に参画)

育児などライフステージに合わせて、働きやすいのが看護師の仕事です。ナースセンターに登録すれば、再就職先を探す際に簡単に情報を収集できます。

ニーズの高い看護師資格を取得すれば、働き場所に困ることはないといえるでしょう。

看護師になるのは社会を経験してから遅くない

看護師は、多くのスタッフと連携してチームで患者を救う、やりがいのある仕事です。看護師資格はニーズの高い国家資格なので、家庭内の子育てや介護などで働く環境が変化しても、スムーズに職場復帰できます。

政府は社会人から看護師を目指す方の育成に前向きです。生涯現役で働ける可能性の高い看護師は、他の職種で社会人経験を積んでから目指すのも遅くはありません。看護師になる教育を受けるためには経済的な負担も伴います、奨学金制度などのサポート制度をよく調べて活用するようにしましょう。