看護専門学校の推薦入試とは?受けるメリットや試験内容を解説

事前準備が合格のカギ 看護推薦4つのポイントとは

看護専門学校では、入学するための手段には普通受験以外にもいくつかあります。そのうちの1つが推薦入試であり、毎年多くの受験生が受けています。

今回の記事では、看護専門学校の入試における推薦の種類を紹介します。それぞれの内容や受験する上でのポイントを踏まえ、メリットやデメリットもまとめていますので、推薦入試を考えている方はぜひ参考にしてみてください。

看護専門学校の入試の種類

資料に目を通す男性

看護師になるためには、看護大学や看護専門学校などの看護学校を卒業する必要があります。看護専門学校とは、そのような看護学校の中でも人気のルートであり、毎年数多くの受験生が入試を受けています。まずはその入試の種類を確認しておきましょう。

看護専門学校の入試には、大きく分けて次の4つがあります。

  • 一般入試
  • 推薦入試
  • AO入試
  • 社会人入試

一般入試では、国・数・英の3教科を中心とした学科試験が行われます。その上で面接などの2次試験が行われる場合が多いです。

推薦入試は、学校長からの推薦を受け、それを基に行われる入学試験です。面接や小論文などを中心とするために学科試験の科目が少ないか、もしくは行われない場合もあり、また一般入試よりも日程が早いです。

AO入試は、学校側が求める学生像と一致する学生を合格させるための入試です。内容は推薦入試と似ていますが、学校長の推薦がないために自己アピール力が問われます。

社会人入試は、その名の通り社会人からの学生を受け入れるための入試です。こちらも推薦入試と内容は似ていますが、採用枠が少ないため倍率が非常に高くなります。

推薦入試のそれぞれの方式

推薦入試と一言でまとめても、その方式はいくつかのパターンに分かれています。それぞれで受験できる条件などが変わってくるため、事前に調べておく必要があります。

公募推薦

公募推薦とは、専門学校側が出している出願条件を満たした上で、学校長からの推薦によって受ける入試になります。出願条件には主に、高校1年生から高校3年生の1学期までの成績の平均になる評定平均値が使われます。

学校によっては、その学校のある地域の学生のみを募集する地域指定制が取られている場合があるので注意が必要です。

また、公募推薦には通常の公募一般推薦入試のほか、スポーツや文化活動を評価する公募制特別推薦入試も含まれます。

指定校推薦

指定校推薦とは、看護専門学校が推薦枠を与えている特定の高校から、その高校の中で選抜された学生が入試を受けに行くという形式のものです。

一般的にはよほどのことが無い限り合格すると言われていますが、その分学校内での推薦枠を勝ち取るのが大変なケースもあります。

指定校推薦では小論文と面接のみという試験も多いです。ですが、学力テストを行う学校もある他、評定も出願条件を満たす必要があります。

AO入試

AO入試は厳密には推薦入試ではありませんが、方式には近い部分があるため、こちらも解説します。

AO入試では高校からの推薦書などではなく、自分自身でエントリーシート(志望理由書)を作成し、学校側に提出することで受けることができます。学校のアドミッションポリシーをよく理解しているかどうかや、自己アピールの能力などが重要視されます。

推薦入試の内容とは?

入試の対策をするためには、当然ですがまずは内容を調べる必要があります。推薦入試では一体何が大事なのかという点をおさえながら、その内容を確認していきましょう。

小論文

小論文試験は、看護専門学校の推薦入試では多くの学校で実施されている試験になります。

小論文の出題形式には、主に次の3種類が存在します。

  • 課題テーマ型
  • 課題文読解型
  • 資料分析型

最も多く出題されるのは、課題が与えられ、それをテーマとして自分の考えを述べる「課題テーマ型」になります。

また、どの形式の問題であっても、国語などの問題と違って内容に正解はありませんので、自分の考えを明確に描く必要があります。事前に練習をして構成のコツをつかんでおけば、本番でもそう困ることなく文章を書き切ることができるでしょう。

面接

推薦入試の内容の中でも間違いなく存在し、その上で重要視されるのが面接試験です。看護師という仕事は患者さんやその家族を中心に、必ず人と関わる仕事であるため、人間性やコミュニケーション能力などが重要になってくるためです。

事前に頻出の質問に関しては調べて回答を考えておき、また面接で話すべきエピソードをまとめておくなど、しっかりと準備をした上で臨むのが良いでしょう。

また、出願時に志望理由書を書いていた場合は、必ず内容を見返し、面接の回答と矛盾ないように気を付けましょう。面接官は志望理由書を見ながら質問をします。矛盾のある内容だと、回答の内容が嘘かその場しのぎのものと思われてしまい、大幅にマイナスになってしまいます。

同様に面接内の別の問題に矛盾する回答をしないように気を付けましょう。

学科試験

一般試験ほどではないですが、推薦入試にも学科試験が行われる場合があります。推薦入試の場合は科目も様々で、小論文の代わりに国語の試験がある場合、国語に加えて数学が加わる場合など、学校によって変わってくるため、勉強を始める前に確認しておきましょう。

基本的に、推薦入試の学科試験は一般入試よりも簡単に作られています。高校で習う基礎学力を中心に作られているため、対策はさほど難しくはありませんが、決して簡単に合格できるわけではありません。

当然ですが、学科試験も面接や小論文と同じく点数を取れればそれだけ入試で有利になります。楽に入試ができると思わず、真剣に対応して合格に近づいていきましょう。

【看護学校推薦入試・面接小論文対策の詳細はこちら】

看護学校推薦入試では、面接試験の結果が非常に重要です。また、小論文試験の配点も決して油断できるものではありません。面接試験対策で必須の2つの試験の対策について、詳しく解説します。

推薦入試を受けるために必要なポイント

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推薦入試を受けるために、学科試験や面接などの対策も必要ですが、それ以外にも必要なポイントとなるものは数多く存在します。事前にこれらの情報を手に入れることで、志望校選びにも役立つことでしょう。

入試情報の確認

まず入試を受けるために必要なことが、入試情報や出願条件の確認になります。見るのは当然だろう、とも思われるかもしれませんが、これらの条件には看護学校側が欲しい学生像の情報が含まれています。それらを意識して改めて見直すことで、小論文や面接で役立つことがあります。

また、学科試験の教科や有無を見て志望校を選ぶことも1つの手になります。学科試験が少ないからと言って簡単に合格できることは決してありませんが、受験を戦い抜く上では重要な作戦になるかもしれません。

学校の評定

推薦入試を受けるうえで、大事な条件になるのが高校生活での評定となります。公募推薦の項目で説明したように、推薦入試で使う「評定平均値」には、高校1年生から高校3年生の1学期までの全教科の評価点数の平均値が使われます。この場合の全教科には、5教科だけでなく副教科も含まれることに注意しましょう。

入試で評定平均値が使われるということは、入試の前だけでなく継続的に良い成績を取る必要があることになります。特に3年生の成績は1学期しか反映されないため、推薦入試を狙うのであればなるべく早いうちから成績を意識しなければなりません。

また、評定値と点数との基準に関してはそれぞれの高校で独自に設けられています。そのため、レベルの低い高校で点数が良くても評定が良くなるとは限りませんし、逆にレベルの高い高校で点数が低くても評定がどうかは分かりません。評定の基準は各高校の先生に前もって聞いておきましょう。

指定校推薦の枠

指定校推薦を目指す場合、入試よりも先に気にしないといけないのは、その学校での校内選考になります。指定校推薦は同じ学校から何人も受けられるわけではなく、その枠が1人だけということも多々あります。その場合、もし2人以上指定校推薦を希望する場合は、高校側が3年間の成績や素行を鑑みた上でどちらを推薦するか判断することになります。

なので、指定校推薦の場合も公募推薦と同じく、なるべく早い段階から成績を意識して勉強をする必要があるでしょう。

また、指定校推薦を利用するのであれば、自分の通う学校が志望校の指定校である必要があります。推薦枠が無ければそもそも指定校推薦は受けられませんので、早いうちから先生に確認をしておくようにしましょう。

地域指定

看護専門学校によっては、公募推薦などの出願条件に地域指定が入っている場合があります。その学校のある地域と同じ地域の学生しか受験できません、といった条件があれば、地域指定が入っているということになります。

ですので、もし別の地域の看護専門学校に入りたいと思っていても、その学校の出願条件次第ではそもそも受験ができないという場合もあり得ます。

入試情報はその学校の公式サイトなどに載っており、比較的簡単に情報を手に入れることができます。志望校を考えるときには、そのような条件にも注意しておきましょう。


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推薦入試のメリットとデメリット

ここまで推薦入試の内容やポイントについて解説しましたが、内容を見て改めて推薦入試を受けるかどうか悩んでいる方もいると思います。ここで看護専門学校の推薦入試のメリットとデメリットについて確認しておきましょう。

推薦入試のメリット

推薦入試が一般入試と違う点として、筆記試験が重要視されにくいというものがあります。近年では人物評価の価値が大きくなり、一般入試でも面接でカバーすることは考えられますが、やはり筆記試験の成績は非常に大事なポイントになります。授業はしっかり受けてきたが、本番一発勝負の筆記試験が不安という場合には、推薦入試はもってこいの方法と言えます。

また、推薦入試は一般入試よりもかなり早い段階で行われることも特徴の一つです。合格したときに準備時間が長く取れるということは、学習面と生活面の両方で大きなアドバンテージとなるでしょう。

推薦入試のデメリット

デメリットとして挙げられるのは、まず一般入試と比べて対策を立てづらい点があります。筆記試験についてはこれまでの授業の復習や過去問を解くなどの明確な手段がありますが、面接試験に関しては1人で対策を立てることは難しいでしょう。

次に、不合格になった場合は一般入試への対策がどうしても遅れてしまうという点があります。数か月の間はあるものの、推薦入試が終わってから一般入試の対策をする状態では不安が残ります。推薦入試を受験する場合は、一般入試の対策も合わせて行うのが良いでしょう。

【看護学校推薦入試・志望理由書対策の詳細はこちら】

看護学校推薦入試では、いかに自分をアピールできるかが合格のカギになります。志望理由書は試験ではありませんが、あなたの第一印象を決定づける重要な書類です。あなただけのオリジナリティある志望理由書を作成するための対策方法について、詳しく解説します。

推薦入試は事前の準備で合格が決まる

看護専門学校の推薦入試では、まず推薦を受けて入試に臨むまでにいくつか確認しなければならないことがあります。志望校を選ぶときにはよく考え、そしてその学校のことを良く調べておくのが肝心です。

そして、受験本番においても小論文や面接、学科試験といった内容が待ち構えています。ですが、一般入試と比べて学科試験が比較的簡単なのは事実であり、かわりに面接の重要度が高くなっています。小論文でも面接でも、まずは自分の考えを見つめ直し、よくある質問には答えられるような準備を作っておくことが大切です。

出願前にも入試前にも、しっかりとした準備を行い、合格をつかみ取れるよう頑張りましょう。


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